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その人の一日には、何もなかったのではない。後から思い出せなかっただけです。

その人の一日には、何もなかったのではない。
後から思い出せなかっただけです。

介護記録を書くために利用者を見るのではありません。利用者を見て生まれた気づきを、記録として残すのです。

私はこれまで、船橋市内の3つの介護施設で働き、現在は4つ目の施設で介護の現場に入っています。グループホームを中心に、小規模多機能型居宅介護の現場にも関わってきました。

本業のかたわら、アルバイトのような立場で現場に参加しています。しかし、この経験がCareMate Insightを考えるうえで、何にも代えがたい学びになっています。会議室や資料の中だけでは、決して見えないことがあるからです。

夕方になって、一日を思い出して書く

ある日の夕方5時過ぎ、日勤職員がボールペンで介護記録を書いていました。「何を書いているのですか」と聞くと、午前中に何をしていたか、午後のレクリエーションに参加していたかを思い出しながら書いていました。

記録に残るのは、「午前中はテレビを見ていた」「午後はレクリエーションに参加した」といった内容です。中には、特に書くことが見つからず、「いつもと変わりなし」とされる利用者もいます。

本当に、その人の一日には何もなかったのでしょうか。

表情の変化、何気ない一言、食事のときの様子、ほかの利用者との関わり、職員の声かけへの反応。朝から夕方までの間には、小さな出来事がいくつもあったはずです。

何もなかったのではありません。夕方になってから一日を振り返っても、小さな出来事まで思い出すことができなかったのです。これは職員個人の努力不足ではなく、後からまとめて書く記録の仕組みに限界があるのだと思います。

記録担当者ほど、観察から離れてしまう

介護現場では、記録を書く役割が勤務帯によって決められていることがあります。現在の職場では、早番・日勤・遅番・夜勤のうち、主に日勤者が記録を書きます。

すると日勤者は、「デイに参加した」「レクリエーションをした」「居室へ移動した」といった、記録欄を埋めるための事実を気にするようになります。その一方で、どのような表情だったか、いつもと何が違ったかという、その人自身の様子が残らなくなることがあります。

私は記録担当ではないため、「何を書かなければならないか」に縛られず、自然に利用者を見ています。その結果、記録担当者よりも多くの変化に気づくことがあります。

記録する人が観察するのではなく、
観察した人が記録できる仕組みへ。

これは、少し立ち止まって考えれば、多くの介護職員や管理者が「確かにそうかもしれない」と感じることではないでしょうか。誰かが悪いのではありません。長く続いてきた役割分担と記録方法が、いつの間にか観察と記録を切り離してしまったのです。

「いつもの痛い」で終わらせなかったこと

104歳の女性利用者がいました。移乗などで身体に触れると、普段から「痛い、痛い」と訴えることがあり、職員の間では「いつもの訴え」として受け止められていました。

ところがある日、車椅子に座り、誰も身体に触れていないのに「痛い」と訴えていました。すぐ近くには私と日勤職員がいましたが、日勤職員は「いつも痛いと言っているから」と、特別な変化としては受け止めませんでした。

私は、誰も触れていないのに痛がっていることを「いつもと違う」と感じました。ベッドで確認すると、お腹が張り、4日間排便がなく、肛門から便が見えていました。排便の介助を行うと、その後、痛みの訴えは治まりました。

同じ「痛い」という言葉でも、そのときの状況はいつもと違っていました。「この人はいつも痛いと言う」という思い込みがあれば、大切な身体のシグナルを見過ごしてしまいます。

CareMate Insightが行うのは、病気の診断ではありません。「いつもと同じ言葉」の中にある「いつもと違う状況」に気づき、それをその場で残して、職員同士で共有することです。

介護を止めず、その瞬間に残す

私自身、勤務中にiPhoneを片手にCareMate Insightを使っています。歩きながらでも、利用者の表情や会話、小さな変化に気づいた瞬間、音声や短い言葉で入力できます。

9名の利用者について、一人10件、合計90件の気づきを残すことを目標にしても、実際にやってみると大きな負担ではありません。記録のために机へ戻る必要がなく、介護の仕事をほとんど邪魔しないからです。

大切なのは、90件という数字をノルマにすることではありません。その場で簡単に残せるため、結果として多くの気づきが集まるということです。

  • 早番・日勤・遅番・夜勤の誰でも、気づいたときに残せる
  • 立派な文章を書こうとせず、短い言葉や音声で入力できる
  • AIが内容を読みやすい文章に整える
  • 集まった気づきを、職員間の共有や家族への報告につなげられる

グループホームは、その人の暮らす場所だから

グループホームは、多くの利用者にとって人生の最後まで暮らす場所になります。だから私は、一日一日を少しでも充実したものにしたいと思っています。

「今日もいつもと変わりありませんでした」で終わらせるのではなく、「今日はこんな表情がありました」「こんな言葉が聞かれました」と、その人が確かに過ごした一日を残したい。

CareMate Insightは、単に介護記録をデジタル化するためのアプリではありません。現場にある小さな気づきを埋もれさせず、より良い介護へつなげるための仕組みです。

利用者を記録の対象として見るのではなく、
一人の人として見つめる。

私が現場に入り続けているからこそ、見えてきた問題があります。そして同じ現場で働く職員や管理者の方であれば、この問題にきっと心当たりがあると思います。

一度、日々の記録を冷静に見直してみてください。そこには、その人の行動だけでなく、その人の表情や言葉、その人らしさが残っているでしょうか。

小さな気づきを、より良い介護へ

CareMate Insightの考え方、機能、導入方法については、公式ページでご案内しています。

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